CVケーブルとは
CVケーブルは「架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル」の略称で、CVDケーブル・CVTケーブル・CVQケーブルは、単心のCVケーブルをより合わせた電力ケーブルです。CVケーブルとCVTケーブルの違い、各々の使い分け、幹線計画における留意点を解説します。
CVケーブルは需要家の構内で使用する電力としては、極めて一般的であり、普及率の高い電力ケーブルです。住宅や事務所、商業施設、工場など、ほぼどのような建築物にでも使用に適している電力ケーブルです。
CVケーブルとCVDケーブル・CVTケーブルの違い
CVケーブルは導体を架橋ポリエチレンで被覆し、その外周をビニルシースで被覆したケーブルです。CV-1Cを2本まとめて円形に仕上げたものはCV-2C、3本まとめたものはCV-3Cというように名称付けされています。
撚り線にして施工性や許容電流値を向上させたものが3種類生産されており、CVDはCV-1Cのデュプレックス(2本撚り)、CVTはトリプレックス(3本撚り)、CVQはカドラプレックス(4本撚り)と呼ばれています。撚り本数が多くなるほど放熱性能が悪くなるため、同一径における許容電流値が減少していきます。
多心のCVケーブルは、単心のCVケーブルを2本・3本と一体にし、隙間を介在物という物質で充填して円形に構成しています。介在物の存在の有無も放熱性能に影響するため、CVTケーブルなどのより線ケーブルと比較すると、どうしても許容電流が小さくなる傾向があります。
ケーブル外径は、若干CVDケーブルやCVTケーブルなどのより線ケーブルの方が大きくなりますが、ほぼ同様と考えられるほどの差です。しかし重量は介在物がない分、CVDケーブルやCVTケーブルの方が軽くなりますので、施工性の向上が見込めます。
架橋ポリエチレンケーブルとは
CVTケーブルに使用されている架橋ポリエチレンは、電力ケーブルの被覆材として広く使用されています。電力ケーブルの絶縁体は、絶縁性能の高さ、耐熱性能の高さが要求され、大量生産を行うために入手が容易であることが求められます。
ポリエチレンは絶縁特性が良好で、入手が容易なため、電力ケーブル用のシース材料として適しています。しかしポリエチレンは耐熱性能がそれほど高くないため、大電流を流す電力ケーブル用の材料としては、熱のリスクが大きくなります。
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ポリエチレンの耐熱性の低さを補うため、ポリエチレン分子を架橋することで、分子を網状に補強して耐熱性能を高めます。これは架橋ポリエチレンと呼ばれ、最高許容温度が90℃まで向上し、短絡時許容温度も230℃という高温まで耐えるようになります。また、ポリエチレンは耐化学薬品性能や耐水性に優れた材料ですから、工場や駐車場、屋外などに設置することが可能です。
CV-3CケーブルとCVTケーブルの使い分け
CVケーブルの3心と、CVTケーブルをどのように使い分けるかを解説します。
CVケーブルに比べ、CVTケーブルは3本撚りとなっているため曲げ易いという特長があります。また、CVTケーブルは各々の電線が独立しており、CVケーブルのように介在物が存在しないため、放熱性能がCV-3Cと比べて若干良く、許容電流値を高く設定することができます。
CVTケーブルの撚りをほどくことで、端末処理が容易になるため、熟練した電気工事士でなくとも作業が比較的容易であると言う点も挙げられます。価格については、CVケーブルに比べ、CVTケーブルの方が高額と言われていましたが、建設物価本などで比較しても、CVケーブルとCVTケーブルの金額の差がほとんどありません。
さらに、電線が別々にシース保護されている構成のため、ケーブルに1線地絡事故が発生した場合でも、線間短絡へ波及・移行しにくいという特長もあります。共通シースのCVケーブルと比べ、外径は若干ながら大きくなりますが、介在物がないため重量が小さくなるという利点もあります。
このような数多い利点から、幹線設計をする場合はCVTケーブルを採用するのが良いでしょう。ただし、CVDケーブルやCVTケーブルなどのより線ケーブルは、ある程度の太さを持って製品化されているため、14sq以上が標準となっています。8sq以下ではCVケーブルを採用せざるを得ません。
CVQケーブルの概要
CVQケーブルは、CVケーブルを4本拠った電力ケーブルで、三相4線式の電路などに採用されます。需要家の回路構成として、三相4線式が採用されることは少なく、需要があまりありません。また、CVQケーブルはCVDケーブルやCVTケーブルと比べて放熱性能が悪いため、許容電流値は最も低くなります。
使用場所とケーブルサイズ限界
CVケーブル及びCVTケーブルは、キュービクルから電灯分電盤・動力制御盤などの幹線としての使用や、盤から大型電気機器への電源供給用配線として使用が考えられます。幹線設計を行う場合、ケーブルサイズは200sqを上限として設計すると、経済的かつ、幹線の事故による停電に対するリスクが軽減された設計になります。
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250sqのケーブルや325sqのケーブルは、外径が大きく重いため、曲がりづらく、施工性が悪くなります。また、大容量ケーブルに多数の負荷を載せることにより、幹線事故による停電範囲が広くなってしまうので、被害拡大防止の観点からも、一つの幹線で供給する面積を、あまり大きくし過ぎないことが大切です。
例えば、電灯負荷や動力負荷は、1幹線あたり60kVAを上限にして幹線計画すれば、150sq〜200sqのケーブルを多く採用でき、かつ停電時の被害も分散できると考えられます。電線サイズも比較的小さく、経済的な設計が出来ると思います。設計者の思想が色濃く出る部分ですから、十分な検討を行いましょう。
CVケーブルの寿命と使用場所の規制
CVケーブルは対候性が比較的高いため、屋外露出配線を行うことが可能です。ただし、直射日光を受ける場所であれば、若干ながらも被覆への損傷が発生しますので、屋内敷設のCVケーブルと比較した場合、寿命が短くなります。
一般的に、屋内敷設の場合で、許容電流を超過しない使い方をしているCVケーブルは、20年から30年の寿命を持つと言われていますが、屋外で使用する場合は、15年から20年までの寿命になると言われています。また、短絡事故を経験したケーブルは、著しく性能低下していることがありますので、数年で使用に耐えなくなることもあります。
使用年数に限らず、絶縁抵抗測定などを行った場合に、著しい絶縁抵抗値の減少が見られたり、耐圧試験を行った場合に異常なキック現象が発生したりするようなことがあれば、それがケーブルの寿命となりますので、ケーブルの交換などが必要になります。
CVケーブルの劣化の要因としては、過電圧・過電流などの電気的要因の他、衝撃や振動による機械的要因、高温下に曝されることによる物性低下、薬品や油による化学的要因などが挙げられます。
高圧電路でのCVケーブル・CVTケーブル
高圧電路にCVケーブルやCVTケーブルを使用する場合、6.6kV対応のケーブルを選定します。高圧用のケーブルは絶縁性能を高めるため、低圧用のケーブルと比べて外装が厚くなっています。低圧のCVケーブルやCVTケーブルと同様の電線管では入線できないので、電線管の選定時にはワンランク大きな電線管を選定するように注意しましょう。
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例えば、低圧のCVケーブルやCVTケーブルと比較し、高圧ケーブルは仕上り外径が1.3倍程度大きくなります。CVT60sqを電圧の高さで比較した場合、低圧ケーブルでは外径34mm、高圧ケーブルでは外径50mm、特別高圧ケーブルでは外径69mmです。使用電圧によるサイズの違いを認識し、電線管の選定の際にはサイズが変わることに気を付けます。
特別高圧電路でのCVケーブル・CVTケーブル
特別高圧電路では、22kVと33kVのCVTケーブルが生産されています。前述しているように、絶縁性能をさらに高めているため外形寸法が大きく、電線管も大サイズが必要になります。SGP150などの金属電線管を使用する場合が多くなります。占積率には十分注意しましょう。特別高圧のCVTケーブルは、60sqを最小サイズと考えて選定するようになります。
水トリー現象
水トリー現象とは、絶縁物であるポリエチレンが、水のある環境で長期間通電を継続した際に発生するケーブルの劣化現象です。ケーブル内外の突起や隙間、空隙や異物など、一定であるべき電界が不整となる部分を起点に、内外に侵食するように、枝が伸びるように劣化が進行することから、水トリーと呼ばれています。言葉の由来は英語の「water tree」から来ています。
水トリーによる劣化現象は、外導水トリー、内導水トリー、ボウタイ状水トリーの3種類があります。外導水トリーは、外部半導電層の突起から内部へ侵食する劣化、内導水トリーは内部半導電層の突起から外部へ侵食する劣化です。ボウタイ状水トリーは、絶縁体内部の空隙や異物から侵食する劣化です。
水トリー現象は1980年初期以前のCVケーブルに多発している劣化事例であり、水トリーの発生によりCVケーブルの絶縁劣化が著しくなり、絶縁破壊事故の原因となります。ケーブルの絶縁抵抗測定や漏れ電流測定などの劣化診断を行い、ケーブルの保全を行うことが重要です。
現在では、絶縁体の界面突起を減少させることで、電界局部集中による水トリーの発生を抑える技術が開発されています。内部半導電層・架橋ポリエチレン絶縁体・外部半導電層の三つを同時に押し出す、三層同時押出による加工法が確立し、水トリーの発生を克服したとされています。
ケーブルの防蟻対策
CVケーブルに限らず、ケーブル類はアリの被害を受けます。シロアリの被害が多い地域では、地中電線をシロアリに喰われてしまい、心線が露出して地絡事故を引き起こすことがあるため、防蟻ケーブルを採用したり、トラフ内に防蟻剤を含んだ砂を充填するなど、シロアリ対策を施す場合があります。地中埋設電線路に、がい装ケーブルを使用することも、シロアリ対策として有効です。
CVケーブルの劣化診断
CVケーブルは、屋内での通常使用であれば20年以上の寿命を持っていますが、過電圧や過電流、ケーブルの浸水、衝撃や熱・化学要因の損傷を与えるなどした場合、絶縁抵抗の低下など、劣化を発生させます。
絶縁抵抗測定・試験
CVケーブルの劣化診断は、絶縁抵抗測定による診断を実施します。電路を停電し、絶縁抵抗計によってケーブルの短部から電圧を印加し、ケーブルの絶縁抵抗値を測定します。内線規程では1メグオーム以上、国土交通省の基準では5メグオーム以上の絶縁抵抗値を維持していることを確認します。
新しいケーブルでは100メグオーム以上の絶縁抵抗値を確認できますが、数十年使用したケーブルでは、数十メグオームとなっていることがあります。
劣化診断の注意点
絶縁抵抗測定を行う場合、ケーブルに500Vの電圧を印加するのが一般的です。負荷を切り離し、ケーブルだけに電圧印加することができれば問題ありませんが、電路に電気機器、特にコンピュータなどの電子機器が接続されていた場合、500Vを印加すると破損します。測定精度が悪くなりますが、125Vレンジからの電圧印加で、このような事故を予防することができます。
高圧ケーブルの漏れ電流試験を行う場合、印加電圧は10,000Vになるため、高圧ケーブルが劣化していた場合、高電圧に耐えられず一気に絶縁低下、条件が悪ければ絶縁破壊に至る可能性があります。10年以上使用したケーブルに対しては、使用電圧までの印加に留めるのが良いでしょう。
ケーブル仕上外径一覧
CVケーブル許容電流一覧
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